2008年1月5日土曜日
エミュレータ研究室 2008
『エミュレータ研究室 2008』
昨年の12月末日に発売された『エミュレータ研究室』シリーズの最新刊。
この『エミュレータ研究室』は基本的には、PC-GIGAという雑誌に連載されている同タイトルの記事の1年分をまとめたもの+αという形になっていて、年末、12月半ばころにその年の総ざらいとしてムック形式で発売される。
かつてほどのボリュームはないものの、米国産のピンボール台のLEDパネルなどをエミュレートした「PinMAME」とピンボール台そのものをPC上に再現した「Visual Pinball」の紹介、LYNX全ゲーム・レビュー、PC-FXゲーム・リストなど、相変わらずマニアックな記事が散見される。
「PS1カルトゲームコレクション」もお気に入りの記事の内の一つだ(『ハードロックキャブ』なんてゲーム知らなかったよ……。『ポエド』は持ってるけど)。
毎年恒例となった「世界の○○」シリーズ(多数の機種に移植されたゲームの移植作を比較、検証するシリーズ)は『ペーパーボーイ』。
ところが、残念なことに毎年掲載されていた「エミュレータ・イエローページ」(国内外の歴代の据え置き型ゲーム機、携帯用ゲーム機、オールドPCの実機の写真とゲームの画面写真に解説文を添えたもの)のゲームの画面写真と解説文がなくなり、その紙面は物凄く寂しくなってしまった。
「エミュレータ・イエローページ」に関しては、「家庭用&ハンディゲーム機編」ならば『エミュレータ研究室 2007』が、紙面がカラーであり、CPU+クロック、解像度+表示色数が記載されていて2004~2008の中ではもっとも完成度が高い(国内外のクラシックPCの紙面はモノクロだが)。
しかし、『エミュレータ研究室 2005』のイエローページも紙面はモノクロであるものの、この年だけCPU+クロック、解像度+表示色数に加えて各機種の発売当時の価格の情報が付記されていている。
また、この本は毎年年末に刊行されるため、その年のエミュレータ・シーンを振り返るという楽しみ方もできる。「エミュレータニュース総集編」という記事はそのような読み方への道しるべとなるだろう。
これまでムック形式で刊行されたこのシリーズをリスト化してみる。
『エミュレータ研究室』(発売元 英知出版)
未所持
『エミュレータ研究室 2004』(発売元 インフォレスト)
・下にある本文を参照。
『エミュレータ研究室 2005』(発売元 インフォレスト)
・この本(『2005』)だけ良質の紙を使っている。『2007』の巻末によれば「紙質をアップさせ、よりグラフィカルにしてみたわけですが、その試みは著者の反対を受け、また元の紙に戻ることに……」だそうだ。
好きな記事
・『バブルボブル』の21機種に及ぶ移植作の比較、検証
・MAME筐体の紹介
・電子ゲームシミュレータの紹介
・ATARIの歴史
・プラグ&プレイ ゲームの特集
『エミュレータ研究室 2006』(発売元 インフォレスト)
好きな記事
・『R-Type』の14機種に及ぶ移植作の比較、検証
・Project64 Ver 1.6 国内ゲームの動作・互換性リスト
・歴代コンシューマ・コントローラ図鑑(『2004』よりも詳しい解説付き)
・「Amiga」の実機、エミュレータの解説
・MESSの解説(『2008』よりも詳しいMESSサポート機種カタログは必見。実機の写真、稼動画面写真、解説付き。ただし、カタログに添えられている解説は『エミュレータ研究室』2004~2007のエミュレータ・イエローページの文と同じ)
『エミュレータ研究室 2007』(発売元 インフォレスト)
好きな記事
・『ストライダー飛竜』の14機種に及ぶ移植作の比較、検証
・ZX Spectrumの世界
・Appleの世界
・「Commodore」「Acorn」「Amstrad」の紹介(Amstrad CPCは「Mupen 64」の作者Hacktarux氏がかつて愛用していたマシンだ)
番外
『エミュレータ研究室 for PSP』(2006年夏刊行)
好きな記事
・『マーブルマッドネス』の移植作の比較、検証
・海外ゲーム機のPSP用エミュレータの紹介
・クラシックPCのPSP用エミュレータの紹介
『エミュレータ研究室アーケード』(2007年夏刊行)
・この本(『エミュレータ研究室アーケード』)のメインとなるのはMAME のバージョン0.117までにサポートされている3000以上にもおよぶゲームのカタログだ。そのゲームカタログはゲーム画面のカラー写真と簡単な紹介文によって構成されている。
好きな記事
・『アウトラン』『パックマン』『ピットファイター』 の移植作の比較、検証
・移植ゲームの世界 (1)Commodore64 (2) Amstrad CPC (3) ZX Spectrum
・最新コントローラ講座
・アーケードエミュレータ資料館
私がはじめて買ったのは、『エミュレータ研究室2004』だった。
本屋で手にとってその内容の濃さに度肝を抜かれた。
FCからPS2にいたるまでの、各機種別のエミュレータの解説は大抵のエミュ本だってやるだろう。
しかし、この『2004』の37ページに渡る「MAMEサポートゲームカタログ」(画面写真と解説付き)、
有志によって作られたスーファミ用の同人ゲーム・デモの紹介(高橋名人が16連射でスイカを割るデモが印象的)、
「歴代コンシューマーゲーム機のコントローラ図鑑」、
そして毎年恒例となっている、1つのゲームのあらゆる移植作を画面写真とともに検証するコーナー(『2004』ではスペースハリアーの24機種分の移植作を比較、検証している)などといった、とてもマニアックかつ便利な記事は滅多にお目にかかれるものではない。
さらに、私のゲームにおける世界を拡大することになったのが、海外レトロPCに関する記事だった。 もしこの記事に出会わなかったら、ZX Spectrumについて詳しく知ろうなんて思わなかっただろうし、『Knight Lore』に関する文章なんて一生書かなかっただろう。
ちなみにこのblogの題名はエミュ研へのオマージュです。