2007年7月1日日曜日

PCSX2の開発者 Refraction氏へのインタビュー

これはEmulation64 Networkで公開されているインタビュー(英文)を日本語に訳したものです。

原文
http://www.emulation64.com/spotlights/26/


日時: 2006年6月18日
現在のプロジェクト:PCSX2
場所:シェフィールド,英国

今日ご紹介するのは素晴らしいPCSX2の開発チームの1人である、有能な開発者のRefraction氏です。Refraction氏は開発者であるだけでなく、エミュレーションの愛好家でもあります。また、Refraction氏は私が出会った中で、コミュニティー・フォーラムやサポート・フォーラムで積極的にその役割をはたし、公の場で接しやすい数少ない開発者の中のひとりでもあります。Refractionさん、どうか素晴らしい仕事を続けるようがんばってください。私たち(ファン)はPlaystation 2 emulationであなたが成し遂げたことのすべてに感謝しています。

インタビュー

Q:いつエミュレーションに興味をもったのですか? それはコーダーとして? それとも一介のファンとして?

A:僕がはじめてエミュレーションに興味をもったのは90年代の中ごろに自分の貧相な100Mhz PCでSNES, NES やMegadrive (Genesis)をプレイした時だったね。当時、そのことは僕にとってテクノロジーにおけるもっとも大きい革新だったよ。すごくびっくりした!



Q:エミュレーションに関してあなたがはじめて経験したコーディングは何ですか?

A:僕の初体験はChip 8 エミュレータだよ。最近ではChip 8 エミュレータはそんなに苦労せずにエミュレーションにおいての基礎のすべてを網羅できるということで、(エミュレータ・プログラミングの)初心者にはノルマになっているようだけど。



Q:何でPS2 Emulation に興味をもったんですか?

A:あらゆるエミュレーションのプロジェクトが進行し続けている中で、PS2エミュレーションは大きな壁に見えたんだ。サターン・エミュレーションは(当時)同様にうまく行ってない様子だったけど、僕はサターンを一度も持っていたことがなくて、デイトナUSAとバーチャファイター以外のゲームでどれくらい多くのゲームがあるのか全く知らなかったんだ。ドリームキャストは好きだったけど、自分自身でうまく出来るという風には感じられなかったし、ドリームキャスト・エミュレータを進行させている人たちの、誰ひとりともコンタクトがとれなかったんだ。それに、他の多くのひとと同じように伝説的なIcarus の登場を待っていたんだ。しばらくの間、PCSX2を使っていて、彼らPCSX開発チームが行っているキツイ作業を手伝うことが出来ると分かったんだ。そして、ソースを見ることから初めて、制御を把握して、で、Linuzappz と Saqib(通称 asadr)に修正したものを送ったんだ。



Q:現在のエミュレーション・シーンの全体をどのように思っていますか?

A:いい感じだと思ってるよ! 本当にたくさんの、いろいろな据え置き型/携帯型ゲーム機のエミュレータがインターネットで利用できる。そのことは、エミュレーション・シーンが力強く、そこには何人かの有能な人々がいるということを表してるよ。



Q:現在のいわゆる次世代機のシーンの状態をどのように思ってますか?

A:次世代機はとてもタフだよ。たぶんそれは文字どうりの意味ではなくて、次世代機が行っていることをPCで行うために数多くのコーディングを必要とされるということに由来している。16bitの据え置き型ゲーム機のエミュを自分自身ひとりでプログラミングできたかつての時代とは違って、人々はチームとなって作業しなければならない。そして、時が過ぎるに従って、チームはもっと大きくなって行くだろうと感じているよ。それは別にしても、(マシンの)パワーが制限を加えているように見える。据え置き型ゲーム機はよりPCのようになってはきているけど、そこにはまだ相違があるし、エミュレートするためには多くの処理能力が必要になるしね。残念なことに据え置き型ゲーム機がよりパワフルになっていくのに対して、PCのパワーは大きな壁に突き当たっている。



Q:今のところ、あなたのプロジェクトに対してあなたが受け取ったレスポンスをどのように感じていますか?

A:たくさんのエミュレータを作ってきたわけじゃないから、PCSX2は僕が作業してきた中ではじめて公になったものだね。僕が受け取った反応の多くは素晴らしいものだったよ!



Q:エミュレーションに関しての最も良い経験は何ですか?

A:動作しているところを見る瞬間だよ! フルスピードで動いていても、たった1fpsや2fpsだったとしても。最近では一つのプラットフォームで一つの据え置き型ゲームが動作するのを見ても、それは驚くべきことではないと思っているけど。



Q:エミュレーションに関しての最悪の経験は何ですか?

A:初心者が付きまとってくることだよ :P オーケー、彼ら全員が悪いってわけじゃないよ!何人かは本当に熱心なんだ。だけど実機を買うのが一番の近道なんじゃないかと思わせるような輩はエミュレーションの何もかもが分かってないし、それは本当にシーンの衰退をもたらすよ。



Q:現在PCSX2以外のプロジェクトで何か進行中のものはありますか?

A:今のところはないよ。



Q:あなたが何か言いたくなるような、大量の野暮な要求にたいして現在は何か対処はしているんですか?

A:たまにね。でもそういうのはすぐ消えていくよ! 10,000人の野暮な要求をしてくるひともいれば、400,000人の完全に満足しているひともいるということを念頭においてるんだ ;)



Q:あなたが受け取った要求の中で最も野暮だったのはどういったものですか?

A:「うげ~。どこでbiosをダウンロードできるんだ~」とか古典的なもの。今はそれ以外に何か思い浮かべられないね。



Q:あなたが受け取った中での最良の賛辞はどんなものですか?

A:「Ref あんたは神だ!」ベータ・テスターのひとりがそう言ってた気がする。ハハ。



Q:あなたのプロジェクトの現在の状態を聞かせてもらえませんか?

A:うん。PCSX2はうまくいってるよ。古いバージョンと比べてみて今動作している多くのゲームのスピードを少し上げることに焦点をあてはじめた。だけど、まだバグを探しているし、完全にバグだった箇所を修正したり書き直したりすることをゆっくりと、少しずつやってみている。



Q:PCSX2の後に何か他のエミュレーションのプロジェクトをやろうという計画はありますか? もしあるのならばあなたの興味があって、チャレンジしてみたいと思わせるのは何ですか。

A:僕たちは将来PCSX3をやるかもしれないな、みたいなことは冗談で言ってるよ。これはすぐに真剣なアイデアになったけど、それは完全なチャレンジになるだろうね……。



Q:あなたがいままでやってきた仕事に満足していますか?

A:イエスとノーの両方だね。2005年の半ばぐらいからコンスタントに貢献してきて、それが報われたから、そのことには満足している。でも、一方で、自分はもしかしたらもっと出来たんじゃないのかということは感じてる。僕は自分が成し遂げることができることよりもっと高いゴールを設定するのが好きなんだ。



Q:今のところプロジェクトの進行具合はあなたが予期していたものを上回っていますか? それともよりもっと遠くへ行けたはずだと思いますか?

A:確実に自分が予期していたものを上回ってるよ。僕たちには優れた開発者がいるし、僕たちの中で多くのことを成し遂げてきたよ。



Q:今現在、あなたは誰と一緒に開発を進めていますか?

A:主にZerofrog, Saqib, AuMatt, Florin それに、もちろんたくさんのベータ・テスター。彼らは僕たちにとってとても価値のある仕事をしているよ。彼らがいなかったら僕らは途方に暮れていただろうね!



Q:どれくらい彼らはあなたに影響を与え、どれくらい彼らはあなたの仕事を改良させたんですか? あるいはその逆?

A:他のチーム・メンバーは素晴らしいサポートと力添えを今までずっとしてくれたよ。そしてそれはプロジェクトを達成するという僕の決意を確実に高めてくれた。



Q:あなたがエミュレータ・シーンから離れた後、何を一番思い出にしたいですか?

A:僕のPCSX2での仕事はよいものだった、と :) 僕は絶対にエミュレータとチームのことが良い思い出になると願ってるよ。



Q:次のバージョンに関して簡単に宣伝してくれませんか?

A:う~ん。そうだな……次のバージョンはかなり速くなってるよ ;)



Q:最後に何か言いたいことや、誰かに感謝の言葉などはありますか?

A:まず最初にインタビューしてくれたあなたに感謝するよ。それから僕のチームメイト、そしてすべてのベータ・テスターに、彼らが行ったハードワークに。おまえってやつはスゲーやつだよ。そして、もしこれを読んでいてくれたらlinuz に、カムバック! 僕らみんなはあなたが居なくなって寂しく思っているよ!

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関連リンク
:: PCSX2 Official Site
:: PCSX2 Official Forums

ちっちゃな情報
名前:Alex Brown
年齢:24
お気に入りの食べ物:Beans On Toast!
お気に入りの映画:リロ&スティッチ
お気に入りの音楽:パンク/トランス 多くのミクスチャー!
お気に入りの本:本は本当に何も読まないんだ。
お気に入りのゲーム:Elder Scrolls IV: Oblivion
お気に入りの趣味:コーディング、クラブに行くこと
あなたのイライラをかき立てるもの:上り坂を通り過ぎていく大型トラックの群れ!!